ゴム材料は、屋外で使用すると各種の要因により劣化します。劣化要因には、化学的、機械的 生物的、その他種々ありそれらの要因により発生する劣化現象も様々です。 これらの劣化現象は、種々の劣化要因が単独または、組み合わさって作用することにより生じるものです。現在では、熱、光(紫外線)、オゾン等の要因が劣化現象に大きく関与していると考えられています。
また、材料的な側面からでなく、形状設計においても局部的な異常変形や伸びの発生するような形状にしない配慮が必要です。
建築物の部材として使う場合、その耐久性が問題となります。 高層ビルに使われる構造ガスケットは、当社が国内で初めて開発したものですが昭和40年以 降、数々の著名物件を手がけています。このうちいくつかの物件では、ガスケットの耐久性を研究 するために部分的に回収し(新しいガスケットと取り替えて)基礎的データの追跡調査に努めています。
Y型ジッパーガスケットの物性試験結果
初期値 | 回収1 | 回収2 | 回収3 | 回収4 | |
経過年数 | - | 9年 4ヶ月 |
12年 10ヶ月 |
15年 4ヶ月 |
25年 |
硬さ | 74 | 76 | 77 | 82 | 86 |
引張り強さ (kgf/cm2) |
171 | 143 | 155 | 141 | 131 |
伸び (%) |
260 | 230 | 210 | 215 | 195 |
抗張積残率 | - | 73 | 73 | 68 | 57 |
この表より経過年数と抗張積残率の関係を図に示します。また、他物件のデータも合わせて示します。
回収ガスケットの結果から見ても分かるように、硬さは年々上昇し、伸びは低下し引張り強度は低下するのが一般的なクロロプレンゴムの劣化です。 ここで、耐久性を論じる場合大事なのが、ある特性のどの時点をその寿命とするかです。構造ガスケットの場合は、水密性能が失われた時とするのが妥当です。(構造的、強度的寿命は、水密性能以上と考えられます。) ここでは、抗張積(伸び×引張り強さ)の残率という特性値で見ています。40年経過したものでも残率が60%以上保持しており、水密性になんら問題なく連続使用されていることを考えますと物性面から見た水密性能限界はこれ以下と言えます。 実績として45年、予想としては50〜60年程度は問題なく使うことができると考えています。